高田たかふみの作品は歴史ミステリーに分類されますが、その面白さは類書を圧倒してます。
歴史ミステリーのスタンダードな形は、現代の殺人事件の謎を解く過程で歴史上の謎も解くという形。
しかし歴史ミステリーの多くは歴史上の謎は作品の薬味程度でしかなく、事件のおこった地方の観光案内ぐらいにしか書かれない。
内田康夫の作品なんかはそうです。
歴史上の謎に正面から取り組み、あっと驚く謎解きをしてみせたのは井沢元彦ぐらいでした。
井沢元彦の作品に六歌仙の謎に挑んだ作品があり、高木あきみつの作品に七福神の謎に挑んだ作品がありました。
数年前、偶然、本屋でQEDシリーズ第2弾「六歌仙の暗号」を見つけ、読んでみました。
そして衝撃をうけました。
長年の謎だった六歌仙の謎と七福神の謎が関連していたなんて!
で、六歌仙の謎は知ってますか?
古今和歌集の序文に選者の紀貫之が6人の和歌の名人として挙げているのが六歌仙。
小野小町など。
しかし、この6人はさほど歌が上手いとは言えず、その正体もよくわかっていない謎の人々です。
なぜ、この6人なのか?
というのが日本文学界の千年の謎なわけです。
で、七福神の謎は知ってますか?
一番有名な「えびす」神からして、本来、海で人々を溺れさせて殺す祟り神であったエビスが何故現代では商売繁盛の神になってんの?
(・・?
なぜ七福神はめでたいとされているのか?
QED「六歌仙の暗号」はこれらの謎を鮮やかに解き明かしたのでした!感動!
QEDシリーズの良さは文章の読みやすさ。
主人公が24才の薬剤師の女の子なので、語り口が今どき。
読者の知的レベルもその年齢の女性を想定してるのでわかりやすい。
探偵役は主人公が片思いしてる先輩の薬剤師。クールな変人。
イメージとしては及川ミッチーですかな。
実は作者の高田さんが薬剤師なんで、歴史上の謎を医学的視点で解明することが多く、新鮮な驚きがあります。
あと、探偵役のタタル君が酒オタクなんで、酒に関するウンチクが面白いです。
QEDシリーズは二、三年前にはまって全巻読みましたが、こないだ最新刊を読んで、また読みたくなりました。
最新刊は出雲大社の話でしたが。
で、前に読んだQED「鬼の城伝説」を読み直しました。
桃太郎とはほんとは何の話なのか?
そして現代の密室殺人事件。
謎が解けました!
さらに昨日はQED「竹取り伝説」を読みました。
竹取り物語とはほんとはなんなのか?
そして現代の奇怪な事件。奥多摩の山奥の道路で二十年前から多発する死亡交通事故。その魔のカーブでは「竹が光る!」と言い残して死ぬ人多数。
またもや鮮やかに謎は解けました〓
で、今日からはQEDシリーズ最高傑作と私が思ってる「六歌仙の暗号」を読みます。
知的好奇心を満たすのはほんとに快感!
でも、それだけじゃな〜い。歴史の謎を考えることは現代の政治経済を理解するためには絶対に必要なことなんです。
QEDシリーズを読めば、それがわかるはず。